間質性肺炎
間質性肺炎は、さまざまな原因によって肺胞壁に炎症をおこし、その壁が厚く硬くなって、呼吸をしてもガス交換ができにくくなる病気の総称です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)と同様に、安静時には感じないものの、歩行時や入浴・排便などの日常生活の動作の中で息切れを感じるようになるのが特徴です(労作時呼吸困難)。痰を伴わない咳(乾性咳嗽)もみられます。
間質性肺炎の原因としては、放射線、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病、粉塵やカビなどの吸入、薬剤や健康食品の摂取などさまざまですが、原因が特定できないものを特発性間質性肺炎といいます。また、この特発性間質性肺炎には7つの病型があり、頻度からすると「特発性肺線維症」「非特異性間質性肺炎」「特発性器質化肺炎」のいずれかであることがほとんどです。なお、特発性間質性肺炎は難病に指定されており、重症例では公費負担の対象となっています。
大切なのは、間質性肺炎が疑われた場合にどういう原因による、あるいはどの病型の間質性肺炎かを的確に診断し、治療方針を決めてもらうことです。未治療で自然に改善するような放射線肺障害、原因薬剤の中止や原因抗原の吸入回避だけで改善する間質性肺炎、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬、あるいは抗線維化薬などの薬物療法が必要な間質性肺炎などを鑑別診断し治療方針を決めていくのが、呼吸器専門医の役割です。間質性肺炎を疑う症状がある場合、また症状がなくても肺がん検診などの胸部X線で間質性肺炎が疑われる陰影を指摘された場合、主治医の先生ともよく相談し、呼吸器の専門施設を受診して下さい。
当院の呼吸器・アレルギー内科は、豊富な呼吸器専門医とともに間質性肺炎全般にわたって診断・治療に関する体制が整備されています。胸部画像(高分解能CT)検査や気管支鏡検査、胸腔鏡下肺生検、種々の薬物療法や酸素療法はもちろんですが、特発性間質性肺炎における有用性を証明すべく包括的呼吸リハビリテーションも積極的に行っております。また、肺移植の適応についても岡山大学病院との連携の下で検討できますし、新規治療薬の臨床試験(治験)にも積極的に参加し、少しでも患者様のお役に立てればと考えております。
胸部レントゲン写真
CT写真