呼吸器感染症

 肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症を起こす原因には、一般細菌、真菌、ウィルスなどの様々な病原体があります。また、高齢化社会を迎えた現在、肺炎診療においてはこれらの病原体の分類からだけではなく、患者様の状態を考慮した観点も必要となってきています。
当院では、臨床検査科の細菌検査、血液検査、ならびに胸部CT,や必要に応じて気管支鏡検査などを施行して、多様な病原体による肺炎を迅速に診断する体制をとり、肺炎のガイドラインに基づいた治療を行っています。
さらに、慢性呼吸不全や免疫不全などいろいろな基礎疾患をもった方に見られる肺炎や、高齢の方に多く見られる誤嚥性肺炎に対しても、抗生剤のみの治療ではなく、栄養面や日常生活スタイルを考慮したアプローチを行い、できるだけ安心して退院していただけるよう努めています。特に呼吸器疾患をもつ高齢者の方は、摂食・嚥下機能に問題がある場合が多く、誤嚥性肺炎を繰り返して呼吸不全が増悪し、低栄養となりさらに体力が低下するというパターンに陥りがちです。当院では、早期に摂食・嚥下機能障害を診断し、誤嚥性肺炎の予防、低栄養に陥らないようなサポートを行うため、平成26年より、摂食嚥下外来をスタートさせ、嚥下検査、摂食嚥下リハビリを行っています。

摂食・嚥下専門外来のご案内

摂食・嚥下障害の診断や治療を専門的に

 ここ数年、高齢化の進行とともに、嚥下障害をお持ちの患者様が増加してまいりました。また、最近では、高齢者のサルコペニアによる嚥下障害が注目されております。「食事でむせる」「飲み込みにくい」「痩せてきた」などの症状でお困りの方はありませんか。これらの症状は、食べ物の通り道に何らかの問題があるためにおこる「摂食・嚥下障害」かもしれません。摂食嚥下障害は自覚がないことが多く見逃されがちで、肺炎(誤嚥性肺炎)を繰り返したり、脱水症や栄養障害を引き起こすことがあります。当院では、食べることでお悩みの方を対象に摂食嚥下専門外来をスタートさせました。ここでは、飲み込みの動きを調べる検査や、食べ方・調理法などの指導を行います。受診や相談をご希望される患者様や医療機関の先生方は、お気軽に地域連携室へご連絡ください。

摂食・嚥下専門外来の概要

初診時、患者様の訴えや症状問診したうえで、患者様の飲み込みや食事の状態を確認するため、言語聴覚士が専門的な評価を行います。その結果、さらに詳しい検査が必要とされた場合、VF(嚥下造影検査)、VE(嚥下内視鏡検査)が実施されます。

対 象

当院の摂食・嚥下専門外来では、嚥下障害の方(可能性のある方)すべてを対象に検査・治療を行っています。嚥下障害でよくみられる症状は次のようなものがあります。

  • 食事の際にむせる
  • 食べ物の好みがかわった
  • 肺炎をくりかえす
  • 食べるのが遅くなった
  • 咳・痰がふえた
  • 微熱がよくでる
  • のどがごろごろする
  • 食欲がおちた、やせてきた
  • 飲み込みにくくなった
どのような検査?

嚥下造影検査(VF:Videofluoroscopic Examination Swallowing)
 レントゲンをとりながら、バリウムをまぜた検査食を食べていただき、飲み込んだものが食道にきちんと流れるかを確認する検査です(気管に誤って入らないかを確認する)。レントゲンで透視することで、口やのどの飲み込みの状態を見ることができ、適切な食事の形態や姿勢などを確認することができます。


嚥下造影検査(VF)

嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic Evaluation Swallowing)
 鼻から内視鏡を挿入し、のどの中の飲み込む動作を直接映像で確認し、飲み込みの状態を検査するものです。
 食事を実際に食べて頂いて、飲み込むまでの映像をモニターで確認します。


嚥下内視鏡検査(VE)

摂食・嚥下専門外来の流れ
医師の診察

日常生活の摂食・嚥下にまつわるエピソードを確認し、必要に応じて血液検査、画像検査などを行います。

言語聴覚士による簡易嚥下機能評価

舌・口唇等の動きの評価、水やゼリーを用いた検査を行い現在の状態をチェックします。

状態・必要性に応じて、精密検査を後日実施

VE・VF検査を後日あらためて行います。ご高齢、障害者の方は、体力低下や低栄養等により身体的な負担が大きくなるため、日帰り入院対応とさせて頂きます。必要性、希望によっては経過観察目的に1泊していただくことも可能です。検査は、耳鼻咽喉科医師、リハビリテーション科医師を中心に、摂食嚥下認定看護師、言語聴覚士、放射線技師等がチームとなってかかわります。

フィードバック

検査結果ならびに栄養状態をふまえて、患者様ごとに適切な食事姿勢・食事形態・食べ方等をアドバイスします。ご紹介いただいた病院様へは後日書面にてご報告いたします。

嚥下障害は、日常生活においてすぐには気づきにくい障害です。摂食嚥下外来の受診を健康診断の一つと考えて定期的にチェックし、誤嚥性肺炎等の予防にお役立てください。
ご紹介の際は、地域医療連携室にお問い合わせ下さい。

摂食嚥下専門外来(※完全予約制) 摂食嚥下障害ってなんだろう
13:00~14:00 × × × ×
お問い合わせ

地域医療連携室 TEL 086-482-3031(受付時間8:30~17:15)

摂食嚥下障害に関する研修会

平成28年11月29日に「認知症機能低下のある方に対する食事介助方法」
というテーマで研修会を行いました。
介助方法の動画を作成しましたのでご覧ください。
動画はこちら

午前 8:30~11:30
※午後は診療科により診療時間が異なります。

土日・祝祭日
年末年始(12月29日~1月3日)